【作品解説】不思議の国のアリス

みんな大好き不思議の国のアリス。
私も章ごとにわけて題材にイラストを描いたことがあります。


不思議の国のアリス
  • 第一章 うさぎの穴をまっさかさま

ディズニー映画でも有名な、冒頭から第二章の涙の池へ続く章。
うさぎをおいかけて穴に落っこちたアリスは、その先で「Drink me」というタグが付いたジュースを飲んだことで小さくなってしまうシーン。
原作では瓶の中に入って涙の池を漂流するシーンはありません。

不思議の国のアリス
  • 第六章 ぶたとコショウ

ディズニー映画では存在しない章で、知名度は低いです。
魚と蛙の召使いたちが侯爵夫人にクローケーの招待状を渡そうとしているところに遭遇したアリスは、侯爵夫人に抱かれて泣きわめく赤ちゃん、狂ったように胡椒を振りまき皿やフライパンを投げながらくしゃみをし続けているコック、という異様な空間に出会います。
侯爵夫人はアリスに赤ちゃんを押し付けてクローケーの会場へ向かってしまい、赤ちゃんは気づけば豚に変わってしまっていた…というアリスの中でもなかなか難解な章。

※翻訳により、各章の題名は変わることがあります。


アリスというと、どうしてもディズニー映画のイメージが強いですが、私がアリスを題材に使うときは、基本的にルイス・キャロルの原作を元に描くことにしています。

今回はそんなルイス・キャロル原作の不思議の国のアリスのご紹介。

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地下の国のアリス

不思議の国のアリスの元になった作品
キャロルの友人、アリス・リデルという実在の少女にせがまれて、キャロルがアリス・リデルをモデルに即興で作った物語。
ちなみに挿絵もキャロルが描いている。
その後書籍化され、不思議の国のアリスの原型となる。

不思議の国のアリス

皆さんご存知の不思議の国のアリス
こちらは原本の複製です。
もちろんこれ以外にもたくさんの書籍が出版されています。

巻頭詩を除くと全12章の構成で、巻頭詩には、前述の地下の国のアリスの、キャロルがアリスに物語を話してほしいとねだられて、不思議の国のアリスの物語を語っている場面が詩として描かれています。

原作の各章は

  • (巻頭詩)
  • 第一章「うさぎの穴をまっさかさま」
  • 第二章「涙の池」
  • 第三章「がくがくかけっことながいお話」
  • 第四章「うさぎ、小さなビルをおくりこむ」
  • 第五章「いもむしの忠告」
  • 第六章「ぶたとコショウ」
  • 第七章「キチガイお茶会」
  • 第八章「女王さまのクロケー場」
  • 第九章「にせウミガメのお話」
  • 第十章「ロブスターのカドリーユおどり」
  • 第十一章「タルトをぬすんだのはだれ?」
  • 第十二章「アリスのしょうこ」

全十二章で構成されています。

この中で、ディズニー映画で描かれたのは、

  • 第一章「うさぎの穴をまっさかさま」
  • 第二章「涙の池」
  • 第三章「がくがくかけっことながいお話」(一部)
  • 第四章「うさぎ、小さなビルをおくりこむ」
  • 第五章「いもむしの忠告」
  • 第七章「キチガイお茶会」
  • 第八章「女王さまのクロケー場」
  • 第十一章「タルトをぬすんだのはだれ?」
  • 第十二章「アリスのしょうこ」

のみです。

原作とディズニー映画ではかなりの差異がありますが、その中でも大きな違いは侯爵夫人の扱いです。
白うさぎが急いでいた理由も、第六章の「侯爵夫人が!侯爵夫人が!」というセリフから、侯爵夫人の機嫌を損ねないためだったことがうかがえますが、なぜか全く描かれていません。
そのため、侯爵夫人が登場する章はほぼすべてカットされていますし、白うさぎが仕えていたのはハートの女王のような描写に変わってしまっています。
ちなみに、最も有名なキャラクターと言っても過言ではないチェシャ猫侯爵夫人の飼い猫です。
しかしやっぱりディズニー映画のほうでは全く描かれていません。
それがアリスよりもなによりも不思議

鏡の国のアリス

不思議の国のアリスの続編
タイトルは有名ですが、内容はあまり知られていない本作。

混合されがちですが、ハンプティダンプティや、トゥイードルディーとトゥイードルダム(双子のディーとダム)は本作の登場人物です。
ディズニー映画の不思議の国のアリスでは、ディーとダムが登場していますが、本来は別物。

あらすじは、チェスのルールに従って、アリスがクイーンになるまでのお話。
不思議の国のアリスが即興で作られたのに対して、こちらはチェスのルールとお話をうまく混ぜ込んだ緻密に構成された作品です。

鏡の国のアリスにもモデルがいて、名前は同じアリスですが、不思議の国のアリスのアリスとは別人で、こちらのモデルはアリス・レイクスという少女です。

少女への手紙

こちらはアリスとは少し脱線しますが、不思議の国のアリスと同じ、ルイス・キャロル原作の作品です。

吃音があったキャロルは、人との会話が苦手で、しかし小さな女の子相手だと吃音が出なかったそうで、少女の友達がたくさんいたようです。

そんなキャロルが、少女たちへ送ったユーモアあふれる手紙を集めた作品。


さて、今回は不思議の国のアリスを紹介しました。

当面の目標は、アリスに登場する章をモデルにしたイラストを、全12章分、網羅することです。
相当先になりそうですが、新しいイラストが増えたらこの記事も更新していこうと思います。


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