ibis paint(アイビスペイント)やメディバンペイントなどの無料お絵描きアプリが台頭し、デジタルで絵を描くのにパソコンすら要らなくなった昨今ですが、本格的にデジタルをやろうと思うと、やはり無料ソフトだと物足りなくなってくるもの。
そこでなんのソフトを買うか問題ですが、これが結構難しい問題です。
私は最初、とりあえずAdobeはすごいんだろう、という雑なイメージでPhotoshopを買おうと思っていましたが、用途を考えた結果、CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)を購入し、今でもクリスタユーザーです。
ちなみに現在はCLIP STUDIO PAINTとAdobe illustrator(イラレ)とAdobe Photoshop(フォトショ)を使っております。
なんでそんなにたくさん使ってるのかと言うと、別に気分で使い分けたいとかではなく、用途によってソフトにも得手不得手があるからです。
CLIP STUDIO PAINT
単純に絵を描くならこんなに便利で安価なソフトはないというくらい文句なしの優良ソフト。
使いやすいUIと多種類の機能で、非常に快適にお絵描きが出来ます。
テクスチャや背景素材なども豊富で、しかも素材はユーザーが投稿する形式をとっているので、多種多様の素材をDL可能。
もはや自分で絵を描く必要がないのでは?と言われるくらいに充実しています。
漫画制作にはうってつけで、ページの管理やセリフの管理などの専用機能を備えています。(一部はEX限定の機能)
EXとPROの二種類がありますが、基本的には安いほうのPROで必要十分です。
(アニメを作ったり、30Pとかの漫画を描く方はEXのほうがいいかも)
PROだとダウンロード版が買い切り税込5,000円(PC版)という驚きの安さ。
しかも1ライセンスで二台のパソコンで利用可能という太っ腹ぷり。
一部ベクターデータも扱えます。(※ベクターデータについては後述のillustratorの項目に詳しいです)
線画制作などに便利。
ベクター要素はさすがにillustratorには劣ります。
データ形式は.cilpですが、.psdを入出力可能なので、Photoshopの代替がある程度可能なのも助かります。
CLIPSTUDIOPAINTの詳しい解説はこちらから
ペイントツールSAI
クリスタと並ぶ定番ソフト。
軽量かつシンプルで、感覚で覚えやすいのが利点。
クリスタ、フォトショ、イラレのような、ややこしい機能は一切なく、使いやすいソフトです。
線画制作に特化した機能を多数搭載しています。
半面、グラデーションツールがなかったり、指先ツールがなかったり、テキスト入力機能がなかったり、図形の機能も少ないので、機能面でしんどいところがあるのがネック。
シンプルで使いやすいソフトをお探しならSAI、多機能性を求めるならクリスタをオススメします。
イラストツールなので、漫画を描くことに関しては特化した機能がありません。
コマ割りや吹き出しは自分で描画する必要があるのと、テキスト入力に関しては他ツールと併用するか、外部ツールが必要なので注意。
値段は税込5500円。
クリスタより若干高いです。
こちらもクリスタ同様、一部ベクターデータを扱えます。
クリスタと違い、任意のツール・任意のレイヤーをベクター化するのではなく、ペン入れレイヤーを使うとベクターデータとして描画されます。
illustrator
illustratorは絵を描くというよりデザインのためのソフトです。
例を挙げるとロゴやフレーム、モチーフの作成など。
フリーハンドでは再現できない綺麗な図形を描くことが出来ます。
図形と図形の位置を揃えるのも、カーソルを動かすだけでガイドが出るので、CLIP STUDIO PAINTのようにグリッド線を表示させて手動で位置を揃えるなんてまどろっこしいことをする必要もありません。
図形や文字をアンカーポイントやハンドルを使って簡単に変形できるので、特にロゴ制作には非常に長けています。
(このサイトのロゴもillustratorで作成しています。)
更にillustratorで描かれたキャンパス内の文字や図形は、ベクターデータという特殊な形式で出来ていて、ひとつひとつの線や図形がどこからどう描かれたか、どこで筆が止まり、どこが線の終点なのかなどの描画情報が記録されています。
そのため、図形を大きくしたり小さくしたりしても、記録された情報をもとに、完全に元の図形の形を保つので、ラスターデータ(Photoshopなど)のように、変形・回転・縮小・拡大、何をしても画質が荒れることはありません。
ただし、描画方式はかなり特殊で、PhotoshopやCLIP STUDIO PAINTのような繊細なイラストの描画には向きません。
あくまでも「図形」を描くツールなので、イラストを描く際も図形を組み合わせるように描画することになります。
データ形式は.ai。
それ以外で出力するとベクター情報が失われるので注意。
.psdも出力可能なので、Photoshopと連帯して絵を描くことも可能。
印刷所によってはテンプレートが.aiのみの対応の印刷所もあるので、グッズ制作の際にも役立ちます。
ただしさすがに天下のAdobeなので値段は桁違い。
買い切りは不可の一年ライセンス式で、公式で月額税込2,728円(年間28,776円)という驚きの高さ。
まあ、これは機能を考えると仕方ないです。
Photoshop
画像編集ソフトとして有名なPhotoshop。
背景の抜き出しなどの簡単な加工のほか、様々な編集が可能で、ブラシツールを使ったイラスト制作もできます。
illustratorとは違い、こちらはラスターデータという形式で、テレビのように1ドットごとに色が描画されています。
ただし、同じAdobe製品なので一部はillustratorと共通した機能があり、ベジェ曲線と呼ばれる機能を使った描画も可能。
アニメーション編集機能もあります。
illustratorの項目ではロゴデザインには最適と記述しましたが、Photoshopでも編集機能を使ったロゴデザインができます。
webデザインにもよく使われ、これ一台でwebサイトの制作からイラスト制作、ロゴデザイン、アニメーション制作まで担ってくれる万能ソフトです。
ただし、イラスト制作という意味ではCLIP STUDIO PAINTのほうが有用性は高いです。
イラスト制作はまだしも、漫画制作には向いていません。
データ形式は.psd。
印刷所のテンプレートとしては.aiよりこちらの方がポピュラーかつ、編集が安易です。
PhotoshopもAdobe製品なので値段は高め。
年間ライセンス制で、買い切りはありません。
illustratorよりは少し安くて公式で月額税込1,078円(年間12,936円)。
Adobe製品の購入は必ずAmazonから!
Adobe製品はAmazonで買うと大体数千円安くなる上に、セールを頻繫にやっているので、なにか宗教上の理由とか特別な理由がない限りはAmazonで買うことをお勧めします。
以上のように、公式で買うより2000円~6000円程お得です。
Amazonだと、illustratorとPhotoshopのセット販売もあります。
てことで、基本的に間違っても公式からは買わないようにしてください。
まとめ
こんな感じで各ソフト得手不得手があるので、うまいこと使い分けよう、というお話でした。
ただ、「有料ソフトを買う=利便性を上げる」であって、「有料ソフトを買う=画力を上げる」ではないのは、注意すべきところ。
無料アプリでも不便を感じないなら必要十分です。
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